被せ物治療(クラウン)とは?

クラウンとは、口腔内に装着する被せ物のことです。
このクラウンには、保険適用の金属製のものや保険適用外のセラミック製など様々なものがあります。
クラウン治療は、中~大程度の大きさの虫歯に対して行います。神経まで進んだ場合の虫歯とそうでない虫歯では、治療回数が大きく異なります。
被せ物治療の流れ
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Step1
虫歯の除去
表面に見えている虫歯から、深い所まで広がった虫歯を除去し、被せ物を入れるため形を整えます。被せ物の種類によって形は異なります。
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Step2
型取り・(仮歯装着)
正確な被せ物を作製するために、虫歯を削った歯とその反対側の歯の型取りを行います。(前歯の場合や歯肉の状態が悪い場合は、仮歯を装着します。)また、前歯やセラミッククラウンなどの場合は歯の色合わせを行います。(仮歯を装着した場合は、後日に再度型取りを行う場合があります)
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Step3
被せ物の装着
約1~2週間後に出来上がった被せ物を、お口の中に装着します。形や噛み合わせに問題がないかを確認しながら、丁寧に調整をし装着します。
虫歯も除去して綺麗に治すことができますが、引き続きケアを行っていきましょう。
被せ物(クラウン)の種類
- 治療期間/治療回数
- 1週間~2週間/2回~4回
※症例により異なります。
保険適用
硬質レジン(歯科用プラスチック)
硬質レジンとは、コンポジットレジンよりも少し硬めの素材です。
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メリット
- 白色をしており目立ちにくい
- 金属アレルギーの可能性が一切ない
- 保険の治療なので費用が安い
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デメリット
- プラスチックなので経年的な摩耗や変色が起こりやすい
- かみ合わせが強いと割れたり、欠けたりすることがある
- 審美性はセラミックに劣る
- セラミックよりも臭いや汚れを吸着しやすい
硬質レジン前装冠(前歯に限定)
硬質レジン前装冠とは、表側がレジン、裏側が金属で構成されたクラウンです。前歯のみ保険で製作することができます。
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メリット
- 見た目は本物の歯に似ている
- ベースは金属なので強度が高く、壊れにくい
- 保険の治療なので費用が安い
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デメリット
- レジンの部分は経年的な変色、摩耗が起こりやすい
- 裏側の金属が見えてしまうことがある
- メタルタトゥー、金属アレルギーのリスクがある
- 保険内では奥歯に適応できない
メタルクラウン(金属冠)
メタルクラウンは、いわゆる“銀歯”です。保険診療で大臼歯(奥歯)にクラウンを装着する場合、原則としてメタルクラウンとなります。
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メリット
- 金属なので強度が高く、奥歯にも適応できる
- 保険の治療なので費用が安い
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デメリット
- 金属色がむき出して見た目が良くない
- 金属アレルギー、メタルタトゥーのリスクがある
- 虫歯の再発リスクはセラミッククラウンより高い
保険適用外(自費)
オールセラミッククラウン
オールセラミッククラウンとは、歯科用陶材(陶器)であるセラミック素材のみを使ったクラウンです。
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メリット
- 天然歯の色、質感、光沢、透明度を忠実に再現できる(=前歯に最適)
- 汚れや臭いを吸着しにくい
- 金属を一切使用しないので金属アレルギー、メタルタトゥーのリスクがない
- 歯質との適合性が高く、虫歯を再発しにくい
- 極めて安定した材料なので、経年的な変色、摩耗が起こりにくい
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デメリット
- 強い衝撃が加わると割れることがある(=奥歯に使いにくい)
- 歯の切削量が比較的多い
- 天然歯よりも硬く、かみ合う歯を傷めることがある
- 保険外の治療なので費用が高い
メタルボンド
メタルボンドとは、外側がセラミック、内側が金属で構成された被せ物です。
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メリット
- 天然歯そっくりの見た目に仕上げることが可能
- 内側は金属なので壊れにくい
- 内側の金属をゴールドなどの貴金属にすることで金属アレルギーの可能性を下げることができる
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デメリット
- 内側に使用する金属の種類によっては金属アレルギー、メタルタトゥーのリスクが生じる
- オールセラミッククラウンほど美しくはない
- 内側の金属が透けて見えることがある
- 加齢や歯周病などで歯ぐきが下がると金属の部分が目立つようになる
- 保険外の治療なので費用が高い
ジルコニアセラミッククラウン
ジルコニアセラミッククラウンとは、内側をジルコニア(セラミック素材の一種)、外側をセラミックで製作した被せ物です。メタルボンドとは異なり、すべてがセラミック素材となります。
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メリット
- 天然歯に近い美しさを再現できる
- ジルコニアは極めて硬く、壊れにくい(=奥歯にも使用できる)
- 土台もセラミック素材なので金属色が透けて見えるようなことはない
- 金属アレルギー、メタルタトゥーのリスクはゼロになる
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デメリット
- 歯の切削量は比較的多くなる
- 見た目の美しさはオールセラミッククラウンに劣る
- 天然歯よりも硬いため、かみ合う歯を傷めることがある
- ジルコニアを覆っているセラミックの部分が割れることがある
- 保険外の診療なので費用が高い
ゴールドクラウン
ゴールドクラウンとは、金(ゴールド)を使用した被せ物です。
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メリット
- 強度が極めて高く、強い力のかかる奥歯にも使用できる
- 歯との適合性が高く、虫歯の再発率が低い
- 金属イオンが溶け出しにくく、メタルタトゥー、金属アレルギーが起こりにくい
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デメリット
- 見た目が金色なので目立ちやすい
- 保険外の治療なので費用が高い
歯の土台(コア)の種類
被せ物であるクラウンを装着するためには、土台(コア)を築造する必要があります。コアに関しても、保険と保険外で使用できる素材が異なります。
- 治療期間/治療回数
- 1週間~2週間/2回~4回
※症例により異なります。
コアの素材の種類のご紹介
メタルコア
メタルコアとは、金属製の土台です。金属アレルギーやメタルタトゥーのリスクがあるなど、セラミックのみを用いたオールセラミック治療に劣る面が多々あります。ただ、保険が効いて、なおかつ丈夫なので、経済面を重視するのであればおすすめの素材といえます。
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メリット
- 適応範囲が広い
- 保険の治療なので費用が安い
- 強度が高く、奥歯にも使える
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デメリット
- 歯質よりも硬いため、くさび効果によって歯根が割れることがある
- トラブルが起きた際の再治療が困難
- 金属色が透けて見えることがある(=前歯にはあまり向かない)
- 金属アレルギーの可能性がある
- 歯ぐきが黒ずむことがある(メタルタトゥーによる変色)
- 歯質との適合性はそれほど良くないため、虫歯の再発リスクは高い
レジンコア(歯科用プラスチック)
レジンコアとは、歯科用プラスチックであるレジンを用いた土台です。
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メリット
- 硬すぎず、柔軟性もあり、歯根破折の可能性が低い
- 金属を使用しないので見た目が良い
- 保険の治療なので費用が安い
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デメリット
- 歯の状態によっては適応できない
- 経年的な劣化が起こりやすい
ゴールドコア
ゴールドコアとは、金(ゴールド)を用いた土台です。
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メリット
- ほとんどの症例に適応できる
- 金は硬すぎず、歯根破折の可能性が低くなる
- 金属アレルギーのリスクは比較的低い
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デメリット
- 金属色が目透けて見えることがある
- 太くて長いコアを入れた場合は再治療が困難となる
- 保険外の治療なので費用が高い
ファイバーコア
ファイバーコアとは、レジンコアをFRC(ガラス繊維強化樹脂)という支柱(ポスト)で強化した土台です。
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メリット
- 柔軟性が高く、歯根破折のリスクが極めて低い
- 白色で審美的に優れている
- 再治療を比較的容易に行える
- 金属アレルギーのリスクがゼロ
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デメリット
- 歯の状態によっては適応できない
- 保険外の治療なので費用が高い
料金について
オールセラミッククラウン | ¥50,000~¥80,000 |
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メタルボンド | ¥50,000~¥80,000 |
ジルコニアセラミッククラウン | ¥50,000~¥80,000 |
ゴールドクラウン | ¥50,000~¥80,000 |
歯の土台(コア) | ¥10,000~¥50,000 |
上記料金は税込み表示となります。